部屋の中央には虎柄の座布団を置いてある。
	光の仕事での来訪者にはここに座ってもらう。
	彼女の誤解と緊張が少しだけほぐれたところで、座布団へ導いた。
	それは、そのようにとの指示があったからである。
	彼女の背中は平凡なものであったが、わたしにはとても懐かしく思えた。
	不思議な感覚である。
	彼女には気楽にしてもらうように告げて、わたしは静かに目を閉じた。
	すぐに気持ち悪くなって嘔吐(おうと)しそうになった。
	これはいつものことである。
	彼女の心の中や、身体の周りに立ち込めている黒い煙のようなものがそうさせるのだ。
	これは、破滅的な意識である。
	怒りや悲しみ、不安などによって生み出されるのか、引き寄せているのかは分からないが、それ等の感情が結果的にそのような状態を導くのである。
	
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