男は小柄ではあっても、その表情は勇ましいものであった。
	そのため、わたしには若者が逞(たくま)しく見えるのである。
	しかし、それでも恨みの感情に落ち込むのだから注意が必要である。
	人は、自らの心を見つめ続けなければならないのだろう。
	男は深々と頭を下げた。
	わたしはそれを微笑ましく見ていた。
	すると、天から光の柱が降りて、男を包んだ。
	それに気が付いた男は天を仰(あお)ぐ。
	光に照らされた横顔が、わたしにはとても神聖なものに見えた。
	その美しさに感動していると、男の頬に一筋の光が走った。
	それは、涙であった。
	男は何かを悟り、満たされたような表情でわたしを振り返った。
	
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