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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2015年3月13日金曜日

追憶 914

ここまでは何ら変わったことはない。
多くの人がこのような視界を経験しているだろう。
わたしが興味を引かれたのは、ここからの話である。
視界は地面によって覆い尽くされようとしていた。
ゆっくりと迫る地面に対して、Nができることは何一つとしてなかった。
思考は追い付かない。
本能が機能して、腕が受け身の姿勢を整えようとしていたかも知れない。
しかし、それが間に合うかどうかは難しいところである。
その時、背後から白く大きな何かが視界に入り込んだ。
それは、身体を包み込むようにして、Nと地面とを仲裁したのである。
スローモーションの中で、大切な荷物を扱うようにしてNの身体はゆっくりと地面に置かれた。
そこには、何の衝撃も感じなかったのである。


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