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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2015年3月12日木曜日

追憶 913

皆がNに怪我の無いことを確認して安堵(あんど)した。
安心の結果として、その場は笑い声に包まれたのである。
 しかし、Nには”秘密”があることを知る者は、この場には誰一人としていなかった。
Nがわたしに話したいのは、この”秘密”についてであった。
余りにも楽しげに話すので、わたしは待ち切れない気持ちでNを急かした。
すると、Nは含み笑いを浮かべながら続きを話し始めた。
Nが何かに躓(つまず)いて倒れこもうとする時、視界がスローモーションとなった。
これは、肉体による危機回避能力によって、脳の処理能力が最大限に発揮された結果として、情報処理のスピードが増したためであるだろう。
普段は脳内で不要として処分している情報を拾い集めた結果、連続する時間に対する”コマ数”が増えて、まるでスローモーションのように認識されるのである。

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