わたしがTさんに対して伝えるべきことはすべて伝えた。
仕事が終わったことを告げ、大きな背中を少し強めに叩(たた)いた。
これは、気合いのためである。
強い気持ちで生きていって欲しいのだ。
その時に、黒いTシャツのプリントが気になった。
そこには、頭が骸骨の悪魔が描かれていた。
これは、偶然だろうか?
不思議な繋がりを感じてしまう。
背筋が伸びて、振り返ったTさんの表情は、会った時と比べると柔らかくなった気がするし、凛々(りり)しくなった気もする。
血色の良い赤い顔を見ると、初めは黒く淀(よど)んでいたのだと気が付いた。
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