高校を卒業すると、わたしは兄の住んでいる東京へ行くことを決めた。
しかしながら、何をするかは決めてはいなかった。
高校時代のわたしにはやりたいことが何も無かったのである。
やりたいことが自分の中で分からなかったという方が適切かも知れない。
これ以上学校には行きたくない。
社会に出たいという漠然な考えしか持ち合わせていなかった。
我ながら酷いものである。
そんな状態だから、高校の時に受けた会社は不採用、今だに自分自身謎ではあるが、矛盾と安易な考えの中に受けた歯科技工士の学校には不合格…
当然の結果である。
わたしは自分が自らの人生において何がしたいのか?
ということが全く分からなかった。
自分のことも分からない、これから先何をしたいのかも分からない。
高校という守られたシステムから弾き出されたわたしは、自らの道(人生)に対して完全に迷子になっていたのである。
それでも、わたしが上京しようと思ったのは、母の勧めと「ジーンズ」が好きだったということからだった。
ただ、それだけだった。
相変わらず安易で無計画である。
当時、お付き合いをさせてもらっていた同級生だった彼女は、少し離れた地方都市の専門学校に通うようになっていた。
そのため、実家を離れて一人暮らしを始めたところだった。
ゴールデンウィークには一度帰郷すると言っていたが、わたしはゴールデンウィーク前に出立した。
焦りがあったのだと思う。
同世代の皆が何かを目指して前進している状況の中に、わたしは独りで宛もなく立ち止まっている。
それはとても苦しいことだった。
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